忘れがちな対人関係の前提

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野球の通算本塁打数の世界記録 (868本)の保持者である王貞治氏。

彼が対戦相手の投手を「ホームランを打つためのパートナー」ととらえていた話を前回取り上げました。

 

そもそも相手のとらえ方は、個々の考えによって大きく異なります。

それを表す良い例が「群盲象を評す」でしょう。

これは6人の盲人が1人ずつある動物の体の異なる部分に触れ、そのわずかな情報をもとに6つの異なる結論に達したという、インド発祥の寓話です。

1872年に詩人ジョン・ゴドフリー・サックスが、この寓話を改作して有名にしました。

 

1人目はその動物の脇腹を触って、「これは壁だ」と言った。
2人目はその動物の牙に触って、「そうじゃない。これは槍だ」と言った。
3人目はその動物の鼻に触って、「それは違う。これはヘビだ」と言った。
4人目はその動物の膝を触って、「いや、それも違う。これは木だ」と言った。
5人目はその動物の耳に触って、「全然違う。これはうちわだ」と言った。
6人目はその動物の尻尾に触って、「みんなデタラメだ。これは縄だ」と言った。

 

画像にもあるように、この動物は「ゾウ」です。

 

広告の第一人者のロイ・ウィリアムズは

「認識の世界では、どの盲人も正しい。

人を動かす努力の大半は、盲人が別の盲人に自分と同じ認識を持つように力説するようなものだ」

と言っています。

これほど的確な分析は滅多にないでしょう。

効果的でない説得の最大の原因を見事に要約しています。

 

私たちは自分の信念に基づいて世の中を見るだけでなく、他のすべての人がまったく同じように世の中を見るように期待しているのです。

そう、特に我が子に対して!

 

ウィリアムズはこう指摘しています。

「自分の家族、友人、同僚、顧客が独自の認識の中で暮らしているという現実をじっくり考えたことがあるだろうか。

その人たちが自分と同じようにゾウを見ることを期待するのではなく、あなた自身がその人たちと同じようにゾウを見る努力をしたらどうだろうか。

辛抱強く努力を続ければ、やがて多種多様な捉え方でゾウが見えてきて、その人たちの認識が理解できるようになる」

「そして、そのとき初めて傾聴に値することが言えるようになる」

 

これは素晴らしい考え方です。

自分の提案や主張を受け入れて欲しいのなら、相手の認識に基づいて現実を見なければなりません。

 

特に親は自らも思春期を経験しているために、お子様の思春期に対しても理解できると思いがちです。

同性のお子様に対しては尚更です。

しかしながら、生まれてから今までに受けた様々な影響(時代背景・先生・友人・本・テレビ)で、その価値観は大きく異なっています。

※先月の【怒りの原因○○を減らす方法】で触れた通りです。

 

あなたはゾウの脇腹を触りましたが、お子様はゾウの尻尾を触っているのです。

 

絶えずお子様の認識に基づいて物事を見るようにしましょう。

それは簡単なことではありませんが、あなたの物の見方とお子様の物の見方についてたくさん学ぶことによって、自分の提案や主張を受け入れてもらえるようになります。

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